大光炉材60年史
98/144

96 奥野 そうですね、製品数と投入原料については、減らしていく方向を模索していくつもりです。ある意味捉えにくい話題でお話しいただきました。いまの時代は、ひと言で業界といっても不確定要素が多くならざるを得ないのでしょうが、松永先生から何かアドバイスを頂戴できますでしょうか。松永学長 そうですね、まず鉄はなくならない。あれだけ強度があって、あれだけ安く作れるものはないし、大量生産にも向いている。なくならないが、いずれ高炉も変わるでしょう。韓国にしても、機械も高炉も、老朽化してくる時期が来るわけです。つぎに、中国が老朽化してくる。そのときに、日本サイドでは好機と見て準備する、そういう感覚は業界全体で持っている必要があると思います。日本がたとえばアメリカに勝った、今度は逆に韓国に負けたというのは、やはり新鋭の炉で負けてるわけです。ですから、今はちょうど力をためておくべき時期で、どこかで最新鋭のものを考えている部隊があって、それが投入されるときが来ると。そのときには、新しい耐火物が要求されるはずです。半導体産業なんて、20年前と今とはまったく違う状況に陥ってますが、やはりなくならないわけです。業界を塗り替えながらものすごく動いてるわけで、そういう産業となかなか動かない産業の両方を相手にする企業であれば、両方の感覚をそなえている必要があるでしょうね。 モデルチェンジっていうのは、材料でいうと一番難しいことですね。大成功をおさめた人っていうのは、失敗を失敗と思わなかった人が成功しているケースがあります。結果で見ると、じつは当初の目的と違うものができているが、全然違う用途に使えてしまった。だから耐火物でも、全然違う分野の人がぱっとエポック的なものを作る可能性もあり、モデルチェンジにはそういう予測できない面もあるし、非情に難しいものだとは思います。10年後に実現させたい夢業界の話題があって視界が開けたところで、10年後に実現させたい夢についてお話しいただきたいと思います。山下 大分工場は一昨年、福山での改修の件もあって、月間で5,525トンという大きな生産量を経験しました。さきほど森下さんも触れましたが、人的な負荷がすごく大きい工場でして、これがずっと続くとシンドイというのが正直なところです。それをなんとかして10年後は、5,500トンをマックスに平均5,000トンで対応できる工場にしたいと思います。そういった方向で見ると、現在の設備はちょうど私と同年齢の41年か42年になりまして、基礎的な設備というのはほとんど変わっていません。40年もマイナーチェンジだけで対応してきて、当初1,500トン、1800トン目標だった工場が、ここ2年は4,000トンを超えるアベレージで生産しています。できればフルモデルチェンジでなくてもハーフチェンジ、あるいは全く新しいワンラインがどんとできると、かなり対応力も違ってくるんじゃないかと思っています。もちろん大型投資にはなるでしょうけど、生産能力を高くキープできる工場を実現したいなと思っています。森下 私の場合は工事の現場の目線になりますが、築炉の仕事、つまり耐火物の解体から施工ということをやっていて、かなり高い熱の出る環境なわけです。極端な話、靴のゴムが溶けることもあったり。暑くてしんどい仕事だから若い人が続かなかったりする

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です