大光炉材60年史
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95記念座談会 その1[松永守央先生をお迎えして]大光炉材の10年後を語ろう社長 そうね、マイナーチェンジでちょこちょことお客さまの満足を満たすことも大事だし、一方で「お前らあほやろ」と言われるような、自信あるものを作って、そのかわり値段もこんなもんになりますけど。それこそ耐火物バカの世界だろうけど、仕事やる上では楽しいはずだね。では営業サイドから、お2人にお願いします。荒川 セラミックスの業界も当然ですがライバル会社がありまして、うちの部の場合、いままで国内のセラミックスメーカーであったのが、韓国、台湾、中国という海外メーカーとの戦いになってきました。昔はセラミックスというと希少価値があって、言い値で買ってもらえるという時代もありましたが、今は価格競争、コスト競争に突入していますね。ですから特色を出していかないといけない。表面がきれいであるとか、公差の真ん中に入れているとか、そういう加工技術であるとか、素材の安定性。セラミックスは寿命が長いので、耐火物と違ってすぐにテストで違いを見せることが難しいのですが、お客さまにもデータをとってもらって、寿命であるとか、機械を止めてのメンテナンスが不要であるとか、そういった付加価値をどんどんアナウンスしていきたいですね。森下 テックでは、通常のメンテ作業を請け負うことが多いので、どうしても鉄の生産量に比例して仕事量が変わってきます。そういった関係性があるわけですが、まだまだ耐火物の築炉作業は人力に頼る部分が多いですね。たとえば道路のブレーカーなんか、ああいうものを人間の手で何時間も叩いて壊している。その辺を今後は、少しずつ機械化へとシフトしていかないと。それと、テックでは半製品ではなくブロックなり何なり、作って納入しています。その辺で、工事屋と材料屋が近いようで遠いというか、別々に動いている、もう少し協力して、装置なり施工方法なりを変えていくべきかなと思いますね。 それと傾向として、業界でも国内の設備投資を減らして、大きい会社は海外へシフトしています。すると国内に残っている仕事の受注に動くわけですが、仕事量をとりすぎるとマンパワー面でパンクするという、ぎりぎりのラインがあるわけです。それでも地方なんかだと、まだこれから炉を作るような案件もありますから、バランスをとりながら開拓していきたいと考えています。大分工場の視点ではどうでしょう。山下 去年までかなりの受注量があって、生産は目一杯で走ってきています。先ほど、マイナーチェンジとフルモデルチェンジという話がありましたけど、マイナーチェンジであっても配合表を見れば、20種類以上の原料が配合されたりしています。それだけ技術サイドで苦労して取り組んでいるとは思いますが、作る側からいえば、どうしても効率面では厳しい。たとえば3種類の原料でできるような製品がないかなと、非現実的かもしれませんが。たまたま昔の配合表なんか見ると、こんなのでいいのというくらい単純なものもあって、逆にそういう発想も可能であれば、半歩でも一歩でも踏み出せるのでは。作る側からすれば、できるだけ少ないほうがありがたいなとは思っています。森下 製品数が減ったら、在庫さえ抱えておけば急な発注にも対応できるしね。

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