大光炉材60年史
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93記念座談会 その1[松永守央先生をお迎えして]大光炉材の10年後を語ろうんでした。すると会長が、彼女と3分間英語で話せたら、好きなだけ上海に行っていいよと、おっしゃったけれどダメでしたね。それから英語の勉強を始めまして、国際会議とかになるとどうしても英語が必要だと実感しました。学生だとそういう機会はないでしょうけど、やはり時間のあるうちに英語を勉強することを勧めたいですね。奥野 さきほど森下さんから静岡の現場での苦労談がありましたが、そういった厳しい状況は同時に、お客さんとの距離を縮めるチャンスでもあるんですね。とはいえ製鉄所は危険な事故が生じかねない現場であって、過去に私も漏銑・漏鋼事故を2回経験しています。一つは300トン近い鉄が流れた規模でした。人災に至らなくてよかったのですが、そういった労災報告が出てきた場合は、同じ事態を二度と起こしてはならないという思いを強く持つように心がけています。単に労災報告として事務的な受け止めに終わるのではなく、自分がけがをしたイメージ、あるいは家族が巻き込まれたりするイメージを思い浮かべて、どうやって注意喚起をしていけばいいか考えるようにしています。松永学長 いま、非常に大切なことをいくつか言われたと思います。奥野さんが言われたリスク管理の問題は、ある程度経験した人たちがきちっと考えなければいけない。組織っていうのはリスク管理が非常に大切ですが、リスクには内的要因と外的要因があって両方に対応できる準備をしなければいけない。たぶん奥野さんのような立場の方だと内的要因への対応が大きいでしょうが、経営者となると外的要因まで考えなければいけない立場におられるでしょう。 それと森下さんが言われたこと、要するにきつい仕事っていうのはお客さんがあると必ず生じてくる、これはもう仕方ない話です。それには耐えなければならないわけですが、若い人たちは経験値として自分の限界を知らないので、仕事をため込んで倒れてしまう人もいる。だから限界というか、ここまでは大丈夫だけどこれ以上は絶対駄目だという線を知るチャンスを与えてあげることも大事です。 苦労から逃げてる人に仕事を与えないでしょうから、そういう人は失敗もしない。人生は基本的に失敗なんです。あとで振り返ったら、あのときああやればよかったってことが山ほどあるわけで、その失敗の連続のなかでそのときの最善解を出す、あとで考えると成功と失敗が見えてくる。私は学生に、恥を恐れるのがいちばんの恥だって言っています。社長 私にも失敗から学んだ経験があります。一時期、気負いが先に立って社員に対して叱るのではなく怒ってしまっていた、相手の立場を理解しようとせずに言いたいことだけ言ってしまっていました。このことを大いに反省しています。いまここにいるリーダーのみなさんを見ていると、怒ることなく人を育てようとしています。中小企業はとくにリーダーの役割が大きいですから、非常に頼もしく感じています。業界(鉄鋼および不定形耐火物)に思うことこの業界のなかにある大光炉材について、どうお考えでしょうか。奥野 鉄鋼業界でいうと、日本では毎年1億1000万トン近くの鉄が作られています。それを縁の下で支える耐火物を作っていることに対して、誇りを持っています。ただ技術本部という立場から見ますと、耐火物に関しても鉄鋼に関しても、大きな構造変革を伴うような技術開

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