大光炉材60年史
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82 大光炉材では、平成18年(2006)に制定した経営理念にある通り、コンプライアンスに基づいて「正しく行動」することは当然のことであり、企業の社会的責任を果たすためには安全で環境に優しい事業運営がすべての基盤になることから、安全衛生活動と環境保全への取り組みをさらに強化した。 平成18年(2006)9月、大光炉材はグループ会社の株式会社テックと共同で「大光炉材グループ中央災害防止協議会(中災防)」を設立した。中災防は小林滉社長を会長、小林仁志副社長を副会長とし、事務局と8つの部会で構成され、平成18年(2006)10月16日に第1回の協議会を開催した。以後、月次の安全パトロールを継続し、KYT(危険予知訓練)活動およびヒヤリハット報告を積極的に行うことで、災害の発生を抑制していった。 環境活動は新素材統括部が先行して活動に取り組み、平成19年(2007)6月に公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)が認証する環境経営システム「エコアクション21」の認証を取得した(現在は一般財団法人 持続性推進機構が認証・登録を行っている)。 「エコアクション21」は、環境への取り組みを効果的、効率的に行うことを目的に、環境に取り組む仕組みを作り、取り組みを行い、それらを継続的に改善し、その結果を社会に公表するための方法について、環境省が作成した「エコアクション21ガイドライン」に基づく事業者のための認証・登録制度である。大光炉材ではこの認証を取得して以降、数値目標を決めて二酸化炭素排出量や廃棄物の削減など環境保全活動に取り組むとともに、その結果を報告する環境活動レポートを毎年提出している。さらに、エコアクション21の活動範囲を広げ、現在は本社部門においても展開している。3.世界同時不況と大震災を乗り越えて 平成20年(2008)9月、米大手証券会社リーマン・ブラザーズが経営破綻した。世界経済は欧米に加えBRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)など新興国を中心にした経済発展で景気拡大局面が続いていたが、リーマン・ショックによって状況は一転し、世界同時不況に突入した。その不況から立ち直りが見られ始めた平成23年(2011)3月11日には東日本大震災の発生、その後の歴史的な円高や欧州政府債務危機、日中関係の悪化など、日本経済は次々と新たな困難に直面した。 大光炉材の業績は、平成20年度(2008)は原材料の高騰の影響を受け、増収減益となり、翌平成21年度(2009)は世界同時不況による鉄鋼業界の生産調整で減収となった。しかし、平成22年度(2010)には過去最高の売上高を記録するというように、その立ち直りは早かった。平成14年(2002)から4年間にわたる試練の時代を乗り越えたことで、新たな試練においても自信をもって対処できた。東日本大震災直後の4月の朝礼で、小林滉社長は次のように語っている。新聞記事紹介(西日本新聞H23.11.23付)

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