大光炉材60年史
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80 レンジした。新素材開発部は平成15年(2003)に独立行政法人産業技術総合研究所と共同研究契約を締結し、応力発光材料の開発を始め、平成16年(2004)にその成果を新聞発表した。応力発光とは摩擦、衝撃、圧縮、引張などの機械的外力により発光する現象で、既存の電子線、X線、放射線、電界、化学反応とは異なる新規な発光材料として大きな注目を集めた。 さらに、平成16年(2004)7月には創立50周年記念として走査型電子顕微鏡(SEM)、エネルギー分散型X線分析装置(EDX)を導入した。業績が厳しいなかでの大型投資であったが、この導入目的は「大光炉材の生命線を守ること」にあった。「最先端の分析機器導入で微細構造レベルに研究の幅を広げ、積極的な研究・開発・製造を実現することこそ、大光炉材の進むべき方向である」という小林滉社長の決断から導入したものであった。 海外ビジネスでは、平成16年(2004)から韓国POSREC(ポスレック)社に樋材、鍋材、吹き付け材の技術輸出を始めた。すでに技術供与している米国アライドミネラル社、台湾大祥耐火材料公司のライセンスビジネスは順調に推移しており、日本での業績が厳しいなかで貴重な収益となった。5.新たな経営理念の制定 平成18年度(2006)のスタートとなる4月、大光炉材は新たな経営理念を作成し、平成18年度の経営方針とともに発表した。<経営理念>大光炉材は、ものつくりをする企業である事に誇りをもち、協調・調和・和合の精神をあらゆる行動の中心に据え、正しく行動します。正しい行動とは、真摯な姿勢で全ての事実に正対することであり、全ての事実は自らの行動の結果であることを先ず認識し、常に成長する前向きな企業活動を社員一丸となり努力します。 この経営理念は、小林仁志副社長が中心となって作成した。平成14年(2002)に副社長に就任して以来、業績が低迷するなかで苦闘しながら、経営とは何か、会社とは何かを自問してきた。そして、小林滉社長の旧知で、経営コンサルタント・池田ビジネススクール学院長である池田繁美氏のもとで心の修業を行う勉強会「耕心塾」「素心塾」に3年間通い続け、もう一度素直に自分を見つめ直す機会を作った。「変わろう大光炉材」というスローガンは、小林仁志副社長自らも変わろうとする思いを込めたもので、経営理念の作成はその集大成の一つでもあった。 また、平成18年(2006)4月から午前8時30分から10分間、全社員が一斉に掃除する「朝の10分間清掃」を始めた。これは単に職場をきれいにして働きやすい快適な職場にするというだけでなく、仕事を始める前の「心の整理」をするためでもあり、教育の一環として取り入れた。 経営理念を作成したことで小林仁志副社長の心に迷いはなくなり、明確な方針が打ち出されたことで社内は落ち着きを取り戻した。それとともに落ち込んでいた業績は徐々に好転してきた。アライド・ミネラル社の幹部をお迎えして(H19.10.15)本社にフィットネスルームを設置

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