大光炉材60年史
73/144

71通史 第2部 第10章・低コスト化の試練と挑戦(1995~2000)クロスライセンスで導入することが決まった。 ショットクリートは樋の亀裂などを吹き付け材で補修する技術で、吹き付け材そのものは従来からあったが、余分な水分が付くことから耐久性に課題があった。アライドミネラル社のショットクリートは専用のマシン(装置)を使い、吹き付け用に開発したローセメントキャスタブル材を使うことで、耐久性を従来から大幅に向上させた。大光炉材ではこの技術をT.A.F.GUN(TAIKO ALLIED FORMLESS 湿式吹き付け工法)という名称で製品化し、平成8年(1996)8月に新日本製鐵(現・新日鐡住金)八幡製鐵所高炉大樋にて実機テストを開始したのを皮切りに、以降各製鉄所でデモンストレーションを行った。また、平成10年(1998)には湿式吹き付け工法(T.A.F.)の新しい工法として、ミニクリート・スネークポンプを用いた新しいT.A.F.を開発し、新市場を開拓した。■フローティング樋バックライニングシステムの導入 高炉からの出銑樋は高熱による膨張と収縮を繰り返すという非常に過酷な条件にさらされるため、他の耐火材に比べ亀裂などが入りやすい。万が一亀裂が入っても溶銑が床に漏れないよう、樋にはバックライニングが施工されている。従来のバックライニングは、耐火レンガで施工されていたが、「フローティング樋バックライニングシステム」(セイフティライニングシステム)はこれを砂状の不定形耐火材(粉末材+プレキャスト+ラミング材)で構築するまったく新しいバックライニングの施工方法である。 大光炉材では、これを米国のアライドミネラル社から技術導入し、日本鋼管福山製鉄所(現JFEスチール西日本製鉄所福山地区)に採用され、平成10年(1998)2月、アライドミネラル社のMr. Carverの施工指導のもとで初めて施工した。その後7年経過しても溶銑が漏れることがまったくなく、安全面で従来の工法よりも非常に効果が高いことが確認された。現在では、樋バックライニングの主工法として、各鉄鋼メーカーに採用されている。5.生産力の向上と拡大 低コスト化の要となる大分工場と君津工場の生産量は、1990年代の後半から2000年にかけて高水準のまま推移していた。大分工場は、月間生産量が平均で3,300トン~3,900トンで平成9年(1997)12月には4,627トン、平成11年(1999)12月には4,628トンと出荷新記録を更新するような状況が続いていた。君津工場も平成12年(2000)に過去最高となる年間生産量21,134トンを記録している。そうした生産量の増大に対応するとともに、新製品が次々と投入されて多種多様になった製品をいかに効率よく生産するかが求められた。 そのため、この時期には工場の情報化が推進された。コンピュータをオンラインで結ぶLANは、平成6年(1994)7月に本社・大分工場に構築され、さらに平成7年(1995)4月には君津工場も結ばれた。これ君津工場の創業25周年式典(H6.8.28)

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です