大光炉材60年史
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70 こうした国際競争に打ち勝つには、低コスト化が重要なことはもちろんであるが、同時に品質競争でつねに世界をリードしていくことが最大の武器になる。大光炉材では、1990年代においてもユーザーニーズに沿った製品をタイムリーに投入していった。主なものをピックアップすると以下の通りになる。■プレミックス樋材の開発 流し込み樋材など、不定形炉材は施工現場で原材料を混合して練って仕上げるが、その際、粉じんなどで作業環境が悪化する課題があった。そこで、工場で出荷前に混合して練っておき、そのまま施工現場へ輸送できるプレミックス樋材を開発した。コンクリートの場合はミキサー車で攪拌しながら輸送できるが、耐火物は水分量が少ないため通常のミキサー車などは利用できず、輸送中の振動で原材料が分離してしまうため、それを防止する技術開発に苦労した。平成3年(1991)に開発に成功し同年11月、日本鋼管福山製鉄所(現JFEスチール西日本製鉄所福山地区)5号高炉において大樋用プレミックス樋材が初施工された。平成4年(1992)には新日本製鐵(現・新日鐡住金)名古屋製鐵所3号高炉にも納入された。さらに、平成5年(1993)3月、日本鋼管福山製鉄所(現JFEスチール西日本製鉄所福山地区)の全高炉でプレミックス樋材がプロパー製品として採用になった。■各種ローセメントキャスタブルの開発 研究所では、昭和51年(1976)に開発した流し込み樋材「FIRE WALL BFシリーズ」で実用化した金属アルミニウムによるローセメントキャスタブルの急速乾燥技術を進化発展させてきた。平成4年(1992)には鋼鍋の全面流し込み化技術の検討を開始し、以降、シリカレス・スピネル質樋材やMgO-C質キャスタブルなどの新製品を投入し、各種ランス、タンディッシュ母材、混銑車(トピードカー)など、多彩な用途に活用できるニューキャスタブル材料を開発してきた。■ショットクリート技術を米国アライドミネラル社から導入 米国のアライドミネラル社(本社オハイオ州コロンバス)とは、昭和59年(1984)に流し込み樋材クレーボンドキャスタブル、タンディシュコーティング材のライセンス供与を行って以降、非常に良好な関係が続いていた。平成2年(1990)7月、アライドミネラル社と大光炉材は互いの研究と市場開発の優れたところを持ち寄り、新製品を開発し、国際的にマーケットを広げていくことを目的に共同研究事業契約を締結した。この共同研究は、アルタコ(ALTACO)の名称で遂行され、以降1年に1回のペースで、トップミーティングを重ねてきた。 平成7年(1995)11月の香港でのトップミーティングで、大光炉材のローセメントキャスタブルの技術とアライドミネラル社のショットクリート技術・フローティング樋バックライニングシステム(※後述)を

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