大光炉材60年史
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49通史 第2部 第6章・鉄冷えからの新たな飛躍(1976~1982) 爆裂防止の画期的な製品は、技術者の遊び心から生まれた。昭和51年(1976)10月、完成したばかりの新研究所で緻密質キャスタブルの技術テストをしていた武重敏彦は、この緻密質キャスタブルにアルミニウムの効果を組み合わせると、これまでにない製品ができるのではないかと思い付いた。簡易テストをしてみると、思っていた以上の成果があった。その原理は、耐火物のなかで水分とアルミニウムが反応することにより耐火物の養生時に水素ガスが発生、乾燥時にその水素ガスが数ミクロン単位の小さな通気孔を形成し、そこから発熱によって生じる水蒸気が発散することで爆裂が防止できるというものである。 アルミニウムによる爆裂防止効果が確認できたことで、新研究所では、粉末アルミニウムの添加に焦点を絞り、総力を挙げて製品化に取り組んだ。 昭和51年(1976)12月、新日本製鐵(現新日鐡住金)室蘭製鐵所において、アルミニウムを添加した世界で初めての流し込み樋材の施工トライアルを行った。その結果、水蒸気爆裂防止の効果が絶大であることが確認された。こうして昭和52年(1977)2月、大光炉材は画期的な出銑樋流し込み材「FIREWALL BF-SCRシリーズ」の販売を開始した。4.プロジェクトチームの結成 大光炉材が世界で初めて開発したアルミニウムを添加した出銑樋流し込み材「FIREWALL BF-SCRシリーズ」は、その工法と樋材の両面とも画期的であった。その特長を示すと次のようになる。〈流し込み工法の特長〉1. スタンプ工法に比べ、施工が容易で省力化になる2. 材料の均一充てん、均一溶損により樋管理がスムーズになる3. 樋の解体範囲(補修範囲)が少なくてすみ、原単価、原単位を 引き下げる4. 従来の練り土状と異なり、長期耐久性に富む5. 混練水量を調整することにより、パッチング状で施工可能6. スタンプ工法に比べ、粉じん、騒音が少ない〈樋材としての特長〉1. 低水分で良好な流動性を得るよう、粘土の種類と量および解かいこう膠 材の調整を行っている2. 流動性を得るため、粒度構成を十分吟味している3. 材料の充てん性が良く、気孔率、吸水率は従来のスタンプ材より 低い4. 従って同クラスのスタンプ材に比べ、耐スラグ、耐溶銑に優れる5. 乾燥時、使用時の容積安定性に富む。すなわちクラック発生、 発達が少ない6. 材料の硬化が速く、急乾燥が可能で、乾燥時の爆裂、クラック 発生がない

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